型紙で穴位置を念入りに確認し、穴はステップドリルで開けました。
ドリルの回転速度は極力遅くして、タップオイルを塗り直しながら掘り進めます。アルマイトのメスティンは柔らかくてすぐに穴が開きましたが、ステンレス容器の方は難儀しました。少しでも当たる速度が速いと煙が出るし、遅過ぎると引っかかって止まるし…。(※作業難航で油まみれになってたので、写真がありません)

それでも、何とか開けて準備したのがこちら。
今回は、Ver.2完成後遊休状態だったVer.1(φ100mmのステンレス容器を炉にした初期モデル)を改造していきます。


燗銅壺は湯煎槽の中に炭を入れる炉が入っているので、吸気口は水が漏れないようにしないといけません。また、火の回りで使うので耐熱性も必要です。そこで、今回は水道用の金属パイプを使って炉から吸気口を伸ばすことにしました。
金属パイプだけでは水がダダ漏れなので、止水のための工夫をします。
まず、ニップルのネジ山に水道管用のPTFEテープを巻き、ナットを1つ根元まで締め込みます。これは普通の水道管と同じ。この状態で、ステンレス容器の外側からニップルを差し込んで、内側にもう一つナットを付けて軽く締めます。(2つのナットで容器を挟む)

そして、ここからが漏水防止の一工夫。内側のナットの隙間に細長く折った水道テープをピンセットでぐるっと一周押し込んでから…

外側のナットを思いっきり締め上げます。このとき、内側のナットがクルクル回ると挟んだ水道テープがよれちゃうので、回らないように軽く抑えます。
(※メスティン蓋の穴は胴部のサイズに合わせていて、口部の折り返しが通りませんので、ニップルを固定する前に蓋は通しておきます)

もともと円形の壁面ですが、ナットで挟んでを思いっきり締め上げると容器壁面が変形してこのようにピッタリとナットに沿うようになります。それでも多少の隙間はあるのですが、隙間に仕込んだ水道テープが隙間を埋めて止水してくれます。

アンティークの燗銅壺でも吸気口付近のロウ付けが劣化して漏水するケースが多いみたいですが、DIYではスーパーX(耐熱温度120℃)を隙間に染みこませるなどして補修されてるようです。この水道テープの耐熱温度は260℃あるのでスーパーXより高熱に耐えるハズ…。まあ、吸気経路は炎が直接当たるわけではなく、かつ水没させて(水冷で)使う場所なのでこれくらいの耐熱温度があれば何とかなるのかな…と。
対して、メスティントの接合部はこんな感じ。炉の底は袋ナットをロウ付けして脚を付けているので少し浮いています。

メスティン側は炉側ほど高温にはならない場所なので普通のゴムOリングでもいいかなーと思ったんですが、念のため100均のシリコン鍋蓋(耐熱温度220℃)から切り出したOリングを使いました。2つのリングを壁面の表裏に咬ませて、手締めするだけでも止水できました。(※ネジ山へのテープ巻きは必要です)手締めなので、使用後に簡単に炉を外してメンテナンスすることも出来ます。


そして、完成図。新たにメスティンの壁面に吸気口がコンニチワ。

この状態でメスティンに水を入れて1時間くらい放置してみましたが、炉側も湯煎槽側も漏水はありませんでしたので、試運転に移ります。炉の底に固形燃料を仕込んで火皿を入れ、その上に炭を載せます。そして点火式!固形燃料の着火は吸気口からこの通り。(これがやってみたかった)


最初は固形燃料が炎を上げて燃え、20〜30分で炭の燃焼に移ります。


順調に炭の燃焼に移ったので、シェラカップに水を入れて掛けてみます。

15分くらいでコトコトと沸騰する音が聞こえてきたので、サーモカメラで測ってみると湯温もメスティンの天板も75℃くらい。Ver.2では熱いけど触れるくらいの温度でしたけど、これはもう熱くて触れません。火力は大幅に良くなった感じですね。

7〜8cmくらいの成型備長炭小片2かけで2時間以上は燃焼してましたので、燃費もかなり良い感じ。