2022年01月25日

燗銅壺考察〜その1

去年の12月から製作を始めた自作の「燗銅壺(野燗炉)」ですが、この辺で一度考察してみたいと思います。

そもそも、「燗銅壺(野燗炉)」とは…
小さな炭炉で湯煎を温めて熱燗をつけながら、炉の火で肴も炙れちゃう日本古来の携帯アウトドアグッズ。アイテム名としては「野燗炉」の方が雅やかで用途を的確に表せていると思いますが、個人的には「燗銅壺」の方が古代の風情でカッコいいな〜と。(*´∀`)
ネットオークションを見ていると、「燗銅壺(野燗炉)」とほぼ同じ構造のもので「野風炉」というのもありますが、こちらは酒燗器ではなく茶道で使う道具のようです。燗銅壺(野燗炉)は方形の直線的なデザインが多いのに対して「野風炉」は曲線を多用した急須に近い形状をしています。また、同じ酒燗器でも「燗銅壺(野燗炉)」は携帯して屋外や卓上で使えるもので、囲炉裏や火鉢にセットして使う据え置き型の湯煎槽は「銅壺」というみたいです。
 昨今のソロキャンプブームも相まって、密かなブームが来ている模様。アンティーク品をリペアして愛用されている方が多い一方、「現代版・燗銅壺(野燗炉)」として紹介されている製品も多々あります。ただ私の主観では「それは燗銅壺(野燗炉)ではないでしょ」と思われるモノもありますので、ここで私なりの「燗銅壺(野燗炉)」の定義を明確にしておきたいと思います。

(1)熱燗用の酒器を湯煎で温められる。
(2)湯煎加熱用の炉は上部に開口部を有し、火を直接使った加熱調理(炙る・焼くなど)も出来る。
(3)湯煎槽の中に炉があり、使用中の本体表面温度は100℃を超えない。(屋内卓上利用が可能)
(4)炉の下部には吸気用の焚き口が設けられているのがベターだが必須ではない。
(5)「燗銅壺」だが、材質は「銅」でなくてもよい。

以上を図にするとこんな感じ。
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熱燗をつけながら肴を加熱調理するという目的では同じですが、以下のように、たき火台、BBQコンロ、七輪などの火の中(あるいは上)に湯煎槽を設置したもの(例:笑'sのB-6君熱燗グリルなど)、固形燃料等で下から湯煎槽を加熱するもの(例:卓上湯豆腐セットなど)などは私の中では「燗銅壺」に含みません。
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燗銅壺の自作について調べてみますと、銅やステンレスの板材をロウ付け・溶接して本格的な燗銅壺を作っておられる強者もいらっしゃいますが、定番はアルマイトの兵式飯盒を加工して作った「飯盒野燗炉」。調べた中では、飯盒を使った例でも構造が2種類ありました。1つは飯盒を湯煎槽として穴のないステンレス容器を炉にして浮かべ、空きスペースに酒器をいれて温めるa)タイプ。もう1つは、飯盒には水を入れず、通気のためにパンチングしたステンレス容器を炉にして、その横に水を入れた穴のないステンレス容器を湯煎槽として並べて入れるb)タイプ。
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私の中ではa)タイプは「燗銅壺(野燗炉)」ですが、b)タイプは「熱燗グリル」。火加減にもよりますが、恐らくb)タイプの構造だと飯盒の壁面はかなりの高温になっていて、ちょっと触れれば火傷・焦げ必至で屋内利用は難しいでしょう。

そんなことで、私の最初の自作・燗銅壺は、まさしくa)タイプの飯盒野燗炉のメスティン版。(あ、メスティンも洋式飯盒か?)メスティンの蓋にステンレス容器を通す穴と酒器を通す穴を加工し、メスティンに水を張って湯煎槽として、湯煎槽の中にステンレス容器(炉)を浮かべた形になります。炉の吸気口は設けていません。
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2つ作ってましてφ10cmステンレス容器を使った本体のみのVer.1と、φ9cmにダウンサイジングして檜の収納箱を付けたVer.2があります。
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このタイプのメリットはメスティンの蓋のみ加工すれば良く、構造が簡単で作りやすいこと。デメリットは、炉の中に空気を導入する吸気口がないので、炉の中では屋内使用で必須の白炭を着火しづらいこと、そして火力が上がりにくいことがあります。

そこで、一念発起して作ったのが、横向きに吸気口を貫通させたVer.3。まさに「燗銅壺(野燗炉)」というべき王道の構造です。
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このタイプのメリットは、吸気のおかげで火力が強いこと、固形燃料などを併用すれば白炭も十分着火出来る事など、古来の燗銅壺に準じる機能・性能が挙げられます。逆にデメリットは製作の難易度。まず、炉に使うステンレス容器に大口径の穴を空けるのがかなり大変。そして、炉に空気を取り込む吸気口は、熱水に近くなる湯煎槽の中を通して外部に出す必要があり、しっかり位置決めした上で、貫通部は耐熱性のある材料で防水処理する必要があること。
さらにもう一つ、これは私個人のデメリットですが、メスティンの側面に吸気口の出っ張りが出来てしまったので、せっかく作った檜の収納箱が使えない…これは悲しい。

ということで、実は、側面通気口のVer.3より加工が簡単で、かつ収納箱も活用できる第2案、Ver.4を計画中です。その概略図がこちら。
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炉にするステンレス容器の下部側面に吸気用の横穴を開けるのは同じですが、通気パイプを90度曲げてメスティンの上面(蓋)に穴を開けて煙突のように通してやるモデルです。これだとメスティン側は蓋のみの加工で済むので位置合わせがしやすく、メスティン本体には穴がないので水漏れの心配もなし。ただ、この形で自作・燗銅壺を製作した例は見かけられず、図のような思い通りのエアフローになるのかも分からなかったので製作を躊躇してたのですが、ここに来て有力な情報を得ました。

ダコタファイアホール』(またはdakota fire pit)というアメリカ原住民のたき火のやり方があるそうでです。地面に大小の縦穴を二つ掘り、トンネルで繋いだ構造で、大きい方が焚き火台、小さい方が吸気口になるのだとか。断面だけ見たら、まさに私の第2案のアイデアと同じ形。Ver.4は「ダコタ燗銅壺」と名付けよう。(爆)
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なお、『ダコタファイアホール』の説明では、「燃焼室で上昇気流が起きると、吸気口側から空気が引っ張られて、細いドラフト内で強められた気流が火源に当たって燃焼効率を上げる」って書いてあるんですよね。従来のように、底に仕込んだ固形燃料で炭に着火する事を考えた場合、固形燃料が燃えているうちは上記の構造で良さそうですが、炭の燃焼に移った後は以下のように炭の位置が低い方が燃焼室の中で上昇気流を生みやすいのかも?
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これは実際にやってみるしかあるまいて…ということで、色々準備中です。
ということで、本日はここまで。(つづく)
posted by sahitahu at 18:57| Comment(0) | DIY